「スペイン人は1日5食」や「シエスタと呼ばれるお昼寝タイムがある」とか、そんな話を聞いた事がある方もいるかもしれませんが、実際はどうなのでしょうか。
見てみましょう!
Desayunno(デサジューノ):朝食
朝食の時間に関しては、日本とあまり変わらず、7時〜8時頃に朝食をとります。
伝統的な朝食としては、ホットチョコレートに浸して食べる「チュロス」が有名ですが、毎日朝食でチュロスを食べる人はほとんどいないでしょう。休日やお祭りの日などに食べることが多いようです。
一般的なスペインの朝食は、意外にも軽い朝食です。アメリカン・ブレイクファーストのようにベーコンと卵料理などといったしっかりとした朝食ではありません。日本と比べると夕食の時間が非常に遅く、朝はあまりお腹が空いていなかったりする為、コーヒーだけで済ませる人もいますが、コーヒーと一緒にシリアルやトースト、ペストリーを簡単に食べる人が多いようです。
ちなみに、スペインのトーストは、日本のようにバターを塗ってではなく、オリーブオイルと塩をかけて食べるのが一般的です。
また、バレンシア・オレンジで有名なスペインは、上質なオレンジがいつでも安く手に入ります。なので、パックジュースではなく、朝からオレンジを絞ってジュースにすることは、贅沢なことではなく、いたって普通のことなのです。
Almuerzo(アルムエルソ):朝食と昼食の間にとる軽食
ここで、日本語には存在しない食事の名前が登場しましたね。10時〜11時頃に、朝食とランチの間の食事の時間があります。学校や職場で、友人や同僚と一緒に持参したBocadillo(ボカディージョ)と呼ばれるバゲットに生ハムやチョリソー、チーズなどを挟んで作るサンドイッチを食べることもありますし、バルに行ってアルムエルソをとる人も多く見かけられます。
Comida(コミダ):昼食
スペインのランチタイムは、なんと、午後2時頃からが一般的です!一日の食事の中でメインになる食事は、スペインにおいては夕食ではなくこの昼食となります。ですから、昼休みも2時間程とられることが多いです。スペインでは、ランチタイムにビールやワインを飲む事も一般的です。
昔は、昼食の為に一旦帰宅し、家族と2時間以上かけてゆったりと食事をする習慣があったのも事実ですが、現在では、国際社会の習慣に合わせて徐々にランチタイムが短くなり2時間程となっているのです。しかし、週末にはこのような、ゆったりとした昼食をとる習慣は残っています。
有名なパエリアも、スペインでは夜に食べられることはほとんどなく、休日などにランチで食べられています。
Siesta(シエスタ):昼寝
今ではもう、日本人でもこの単語を知っている人も多くなりましたが、意味は「お昼寝」です。実際、スペイン人は本当にお昼寝をしているのでしょうか?
そもそも、私達が勝手に想像するお昼寝は、パジャマに着替えて布団に入るようなイメージがありますが、スペイン人にとってのお昼寝は、ランチの後15分前後、腰掛けたまま仮眠をとるというような感じです。また、先に挙げたように、ランチタイムそのものが短くなっています。大都市では、帰宅して食事をする人自体も少なくなっていますので、ランチ後にお昼寝そのものをしない人も今は多くなっているでしょう。ですから、シエスタそのものが昼寝をすることというよりも、ランチタイム後の休憩の時間を指すような感覚でしょうか。
マドリッドやバルセロナなどの大都市では、国際社会と足並みを揃えて、昼休みの時間の短縮化や、朝から晩までクローズせずにオープンしている商店(日本では当然ですが!笑)も多いのが現実です。しかし、少し大都市から外れた中小都市や田舎では、ランチタイムとシエスタの2時〜4時(場合によってはもう少々長く)には、飲食店を除く多くのお店がクローズしますので、旅行の際には気をつけて下さいね。
Merienda(メリエンダ):昼食と夕食の間にとる軽食
こちらも日本語には存在しない食事の名前ですね。あえて和訳を添えるのであれば「おやつ」のような感じでしょうか。しかし、メリエンダの時間は、夕方の6時〜7時くらいになります。
何を食べるか特に決まったものはなく、人それぞれです。仕事終わりなどに、友人達とおやつとして甘いものを食べる人もいれば、 バルに寄ってお酒と一緒に軽くおつまみ(タパス)を食べる人もいます。
Cena(セナ):夕食
一般的な夕食の時間は夜の9時以降です。夏のスペインは非常に日が長く、日没が9時以降となりますので10時以降に夕食をとり始めることも珍しくありません。スペインでは、一般にバルは朝から夜まで1日中空いていますが、レストランは日本のようにランチとディナーの間にクローズします。旅行した際に気をつけなければならないのは、観光客向けでない地元の人が利用するレストランでは、ディナーのオープン時間が9時前後ということが多々あるという点です。日本の感覚でディナーに行くのとは少し違いますね。バルやレストランは、この9時〜10時の間は混み合います。
ランチが1日の食事のメインとなるスペインでは、一般に夕食は軽く済ませることが多いようです。家庭では、サラダやスープといった簡単な食事が多く、この時間にバルでお酒を楽しみながら軽くおつまみを食べる人も多く見かけます。
以上、スペインの食生活とシエスタについてご紹介させて頂きましたが、日本の食生活とは大きな違いがありますね。
いつも慌ただしい生活を送っている私たち日本人のライフスタイルからすると驚く点もありますが、スペインでは、特別な日でなくとも日常の中で、常に家族や友人との関係を大切にし、自分の愛する人達と一緒に、美味しいものを食べて、お酒をたしなみ、よく喋り、「人生を楽しむ」という、私達が忘れかけている習慣がそこには残っているのかもしれません。