皆さんは、「Siesta(シエスタ)」という言葉を知っていますか?スペイン語を学習している人やスペインへ行った事のある方の多くはご存知の言葉でしょうが、そうでない方にも今では知られた言葉でしょう。
“Siesta(シエスタ)”とは、スペイン語で「お昼寝」の意味、もしくはその休憩時間を示します。
スペインだけでなく、お隣のポルトガルや昔スペイン領であった中南米の国々の中にもその習慣が残っている地域があるようです。
スペインへ行ったことのある方の多くが経験したことがあると思いますが、シエスタの時間は多くのお店や企業などがクローズしてしまいますので、それを想定していない観光客は非常に戸惑います。
シエスタの時間は、多少ばらつきがありますが、主に14:00〜17:00くらいの時間です。
というのも、スペインのランチタイムは14:00前後が一般的ですので、長〜いお昼休みといったところでしょうか。(スペインの1日については、過去にこのブログの「スペインの食事は1日5回!?」で紹介しておりますのでそちらをご覧下さい。) また、1日のメインになる食事は、日本のようにディナーではなくランチとなりますので、伝統的には昼休みに職場や学校から一度自宅へ帰り、私たち日本人にとっての夕食のように家族と一緒にゆったりとそして1日の中で最もしっかりとした食事をとる習慣があります。外食をする場合でも、レストランのランチはコース仕立てが一般的です。
そして、地域にもよりますが、とりわけ夏のスペインは非常に暑いのです。そして、日没もかなり遅くなりますので、最も日差しが強く暑い14:00〜17:00辺りの時間には外に出歩かず、一度帰宅しゆっくりとランチをした後に仮眠をとって、少し暑さがおさまった頃に再び仕事へ出かけるといった習慣からきています。
つまり実際には、スペイン人が働かずにお昼寝をしている訳ではなく、労働時間そのものは他の国々と大きな違いはありませんが、気候風土や昼食の習慣からお昼休みの取り方が異なっているのです。
また、「お昼寝」と聞くとパジャマに着替えてベッドに入ってしまうようなイメージがありますが、実際にスペイン人に聞いてみると本気で昼寝をしているという人は少なく、食後に20分前後の仮眠をとるという場合がほとんどで、全く寝ないというスペイン人が多いもの事実です。つまり、現在ではシエスタ=昼寝というよりも、お昼休みを含む休憩時間そのものをシエスタと呼んでいるのです。
しかし、時代と共にその習慣も変わってきています。2006年より公務員に関してはこのシエスタの習慣が廃止されて国際基準に合わせた働き方になっています。それに伴い、マドリッドやバルセロナをはじめとする大都市においては、国際的な企業が多いことや、外国人観光客に合わせて、シエスタの短縮や廃止が進んできています。
しかしながら、今も地方や田舎ではこの習慣が残っているもの事実です。地方へ観光に行った際には、シエスタの時間に入ると街中のお店が閉まってしまい、通りにも人がいなくなってしまうので、その時間に出歩いていると観光客であることが一目瞭然といった具合です。
このシエスタの文化は、私たち日本人の働き方と比べると、スペインでは家族との時間を何よりも大切にし、ゆったりとしたライフスタイルが少し羨ましいなぁと感じるところですが、ついに今年2016年、スペインの首相は本格的にシエスタの廃止を検討していることを発表しました。
今後、スペインからこのシエスタの文化は消えてなくなってしまうのでしょうか?
最後に、シエスタに関して紹介しスペイン人達がインタビューに答えているビデオを紹介します!和訳はありませんので、中級レベル以上の方向けですが是非ヒアリングに役立ててみて下さいね。