スペイン語だけでなく、英語や他のヨーロッパ系の言語にも共通する「”否定”疑問文への答え方」、実は日本語の「はい」「いいえ」と返事が逆になっていることを意識していますか?
否定疑問文とは、
「お腹空いてない?」
「疲れてない?」
「もう食べないの?」
「日本食は好きじゃないの?」
「今、家にいないの?」
など、文字通り、否定形での質問文のことです。
これらの否定疑問文に対する答え方ですが、日本語の「はい」「いいえ」のままスペイン語に翻訳して返答してしまうと、間違った答え方になってしまうのです!
例えば、
「パエリアはあまり好きじゃないの? (¿No te gusta mucho paella?)」
という質問に対して、その答えが
【『好き』の場合】
・日本語:「いいえ」(=いえ、そんなことないです。好きですよ。)
・スペイン語:「はい」(= Sí. Me gusta.:はい、好きです。)
【『好きではない』の場合】
・日本語:「はい」(=そうなんです、あまり好きではないんです。)
・スペイン語:「いいえ」(=No. No me gusta mucho.:いいえ、あまり好きではありません。)
このようになります。
つまり、日本語とスペイン語ではこの否定疑問文への「はい」「いいえ」の返答が逆になっているのがわかりますね!
一見混乱してしまいそうですが、実は、いたってシンプルな原理です!
日本語は、“相手の発言を”「肯定(はい=その通り)」または「否定(いいえ=そうではありません)」で答えます。
一方、スペイン語などの欧州系の言語では、相手の発言の肯定・否定ではなく、単純に“その事実に対する” 肯定・否定と言うシンプルな法則となります。
「パエリアは好きか嫌いか」と言う問いに対して、肯定(=好き)であれば「はい (Sí)」、否定(=嫌い)であれば「いいえ (No)」と答えるだけであって、相手の質問が肯定疑問文であっても、否定疑問文であっても、「はい」「いいえ」の答え方は変化しないのです。
またジェスチャーにおいても、全く同様です!首を縦に振る場合、横に振る場合、日本語と逆の感覚になりますので、注意が必要ですね。
例えば、スペインやラテンアメリカでは親しくなると友人の家などで食事をご馳走になり、もっと食べるように勧められることがあります。
あなたは、たくさん食べてもうお腹いっぱいの状態です。
そこで「もう食べないの?」と聞かれた場合、日本語で考えて「はい(=もう結構です)」と答えると、どうなるでしょうか?
スペイン語では、「Sí.」=肯定=「もっと食べたい」と捉えられてしまい、結果お皿にもっと料理を盛られてしまうことになります!
また、友人宅やレストランなどで、あなたが食事を残してしまった場合、気を遣ってこんな質問をされることが多々あります。
「口に合わなかった?(美味しくなかった?)」
日本語で「いいえ!(=そんなことないです!)」と答えた場合、どうでしょうか?
スペイン語では、「¡No!」=否定=「美味しくなかった!」と相手には聞こえてしまうわけです!
これは、相手をかなり不快にさせてしまう返答になってしまいますね。
この「否定疑問文」、初級の学習者の方だけでなく、中上級の方でもミスが目立つ箇所です。
日本語の構造上、日本人の苦手とする箇所の1つでもあり、とっさに逆の返事をしてしまうと勘違いが生じてしまうこともありますので、ぜひ注意しながら使用していきましょう。
この言語上の構造の違いを一度しっかりと把握しておけば、この間違いは減っていくでしょう。
ただ、分かったつもりでも、やはりとっさの返事などは混乱することがありますので、慣れが必要ですね。
否定疑問文の時は、いつも注意しながら使用し、何度も練習を続けていきましょう!