スペインの「生ハム」事情!

本日は、スペインの「生ハム」に関するお話です。

Jamón serrano e iberico

スペインには、たくさんの美味しい食材がありますが、その中でも特に「生ハム」に関しては世界的に有名で、日本におけるその知名度も年々高まっていますね。

スペイン語でハムのことを「ハモン(Jamón)」と言いますが、日本でもレストランやバル、デパートや最近ではスーパーでも「ハモン・セラーノ(Jamón serrano)」や「ハモン・イベリコ(Jamón Ibérico)」という言葉を、耳にするようになりました。

 

しかし、「ハモン・セラーノ(Jamón serrano)」と「ハモン・イベリコ(Jamón Ibérico)」には、どんな違いがあるのでしょうか?

その答えは、原料となる“豚の種類”の違いです!

「ハモン・セラーノ」は、通常の白豚で作られた生ハムです。ちなみに、セラーノ(serrano)とは、「山の」といった意味ですので「山のハム」といったニュアンスです。一方、「ハモン・イベリコ」は、名前の通りスペインのブランド豚であるイベリコ豚という黒豚から作られなければ名乗る事のできない生ハムなのです。

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スペインでは、生ハム専門店が多く、またスーパーなどでも生ハムコーナーが設けられていることが多いですが、このような場所では生ハムが脚のまま吊るされていて、量り売りで購入します。そんな時は、一発で「ハモン・セラーノ」と「ハモン・イベリコ」の区別がつきますよ。それは、「蹄(ひづめ)の色」です!ハモン・セラーノ=白豚=蹄は白。ハモン・イベリコ=黒豚=蹄は黒。となっているのです。

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今では日本でもイベリコ豚の生ハム「ハモン・イベリコ」が高級であることはよく知られるようになりましたが、なぜイベリコ豚は美味しくて高価なのでしょうか?

理由の1つは、その希少性です。イベリコ豚は一般的な白豚に比べて成長が穏やかなことから大量生産に不向きで、昔はスペイン国内の豚のほとんどがイベリコ豚だったにも関わらず、今では全体の4%程しか生産されなくなりました。生ハムに関しては、そのほとんどが「ハモン・セラーノ」ですので「ハモン・イベリコ」の生産量は、なんと全体の1割にも満たないのです。

もう1つの理由は、飼料にもあります。こちらに関しては、近年日本でも知られるようになってきていますが、イベリコ豚はドングリを食べて育つことで有名ですね。しかし、全てのイベリコ豚がドングリを食べて育つ訳ではないのです。「ハモン・イベリコ」は、飼料や放牧方法の違いで、3つランクに分けられていますので、購入時にはパッケージをチェックしてみて下さいね。

 

1. ベジョータ (Jamón Ibérico de bellota)
最高級品と言われる「ベジョータ(bellota)」と呼ばれるハモン・イベリコです。ドングリを食べて育ち、自由に放牧されたイベリコ豚からのみ作られる限られたハモン・イベリコです。

2. セボ・カンポ (Jamón Ibérico de cebo campo)
「セボ・カンポ(Cebo Campo)」は、ドングリに加え通常の飼料も与えて育てられ、放牧されたイベリコ豚から作るハモン・イベリコです。

3. セボ (Jamón Ibérico de cebo)
「セボ(Cebo)」は、一般的には放牧をさせず、通常の飼料のみで育てられ、ドングリを食べていないイベリコ豚から作られるハモン・イベリコです。

 

実は、このような違いがあるのです。スペインの市場や生ハム屋さんで量り売り購入する際には、きちんと以下の3つのランクが示されているはずです。

そして、Bellota(ベジョータ)の表記がついたものが、最高級品となるわけですね。この違いは、見た目や味にもはっきりと表れています。ベジョータになるイベリコ豚は、たっぷりとドングリを食べて育つことから、その生ハムはほんのりとナッツの様な香ばしさが感じられ、森の中で自由に放牧されしっかりと運動をしていることから、生ハムの断面は筋肉組織にきめ細やかな脂肪が入り、美しい霜降りの生ハムとなるのです。

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また、原産国スペインでは、日本で購入するよりもかなり安く購入することができます。さらに、日本では考えられませんが、専門店においては、一通り試食をしてから購入という贅沢な買い方ができます。試食用の1カットも、カットしたての大きな一切れが渡されることが多いので、はじめての方はびっくりされることでしょう。

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もちろん、小売店だけでなく、バルなどでもお店でカットしてもらいお酒と一緒にハモン・セラーノやイベリコを楽しむことができます。お店では、そのままの生ハム以外にも、ピンチョスや、生ハム・メロン、生ハムのサンドイッチ、生ハムの入ったコロッケなど、様々なメニューがあります。

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また、スペインでは一般家庭でも、特にクリスマスなどの家族みんなが集まる際には、脚のままワンホールのハモン・イベリコを購入し、自宅でカットして食べる光景もよく見かけます。

 

最後に、スペイン流の通なハモン・イベリコの食べ方を紹介致します。
それは、「手で食べる」ことです!
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これは、日本の黒毛和牛やマグロのトロなどにも共通していますが、最高級の霜降り肉は、手の温度でその上質な脂肪が溶け出してきますね。ハモン・イベリコも同様です。ですから、皆さんも上質なハモン・イベリコを食べる際には、フォークではなく、是非スペイン・スタイルで、手で召し上がってみて下さい!

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