皆さんは、「オルチャタ」という飲み物をご存知ですか?
スペインは初夏を感じる心地よい季節となりましたが、今回はスペインで夏が近づくと登場する飲み物「オルチャタ」のお話です!
この「オルチャタ」、スペイン語では “Horchata” と表記され、スペイン発祥の伝統的な飲み物です。その中でもバレンシア地方に起源があると言われています。(バレンシア語では “Orxata” とも表記されます!)
一般に氷を入れた冷たい飲み物であることから、スペインでは夏の定番のドリンクの1つとされていて、この季節になると街中のカフェテリアやオルチャタの専門店「オルチャテリア (Horchatería)」で楽しめる他、スーパーでパックされたドリンクとしても販売されます!また、地域によっては夏になると路上でのワゴン販売も見られます。
オルチャタの見た目は乳白色で、味わいは少し独特です。とっても甘い豆乳やアーモンドミルクに近い味わいですが、その原料はいったい何なのでしょうか?
その正体は「チュファ(Chufa)」と呼ばれる植物です!チュファと言われてもピンと来ない方が大半でしょうが、実はここ最近「タイガーナッツ」という名称で若い女性の間で話題になっているスーパーフードが、このチュファのことなのです!実際にはナッツではなく、日本名で「カヤツリグサ」という草の塊茎で、ブツブツした豆やナッツのような見た目をしていますが、乾燥させた状態で販売されています。
オルチャタは、このチュファを水に浸してから、撹拌し、絞り、濾過して作られます。これに砂糖で甘みをつけ、場合によってはシナモンやレモンピールなどで香りを付ければオルチャタの完成です。
このチュファからオルチャタを作る文化は非常に古く、なんと8~13世紀に遡ると言われています!
ここ最近ブームになっているタイガーナッツ、実はスペインでは何百年も昔から変わらないオルチャタというレシピで親しまれていたのですね!
オルチャタはその古い歴史から、やはり他のスペイン語圏の国々にも普及しています。スペイン統治時代の歴史の中で、国や地域によって少しずつその形を変えてはいますが、オルチャタは今もラテンアメリカの多くの国に残っているのです。
チュファが手に入りにくい地域では、その代用品としてお米やアーモンド、または牛乳を使ったオルチャタなど、それぞれの国で手に入る材料によって作られるオルチャタが中南米の各国で見られます。
本国スペインでは、オルチャタは夏の定番ドリンクです。特に、チュファの名産地であるバレンシアでは「ファルトン(fartón)」と呼ばれるスティック状の甘いパンをオルチャタに浸して食べるスタイルがもっともポピュラーな頂き方です!さらにアレンジを加えて、シャーベットやジェラートにしたオルチャタや、オルチャタにチョコレートアイスを浮かべた「Cubano(クバーノ)」、コーヒーで割ったものなど、様々な楽しみ方がありますよ。
皆さんもこれからのサマーシーズンにスペインを訪れる際には、是非一度このオルチャタにトライしてみてはいかがですか?