キューバの父カストロの死とおすすめ映画

先週、スペイン語圏そして世界中を騒がせたニュースとして、キューバのカストロ議長の死という報道がありましたね。

彼の名は、フィデル・カストロ(Fidel Castro)といい、キューバ革命の指導者として、首相として、今のキューバを作った人物でもあります。

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みなさんは、キューバという国、そして彼が何をした人物かご存知ですか?

キューバはカリブ海の島国であり、スペイン語が公用語の国です。ちなみにスペイン語では「キューバ」ではなく「クーバ」と発音します。社会主義国家としてもよく知られていますが、サルサをはじめとする音楽やダンス、そしてラム酒や葉巻、野球も有名な国ですね。

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今から60〜70年前のキューバは、事実上はアメリカの植民地のような状態にあり、その腐敗しきった政治により一部の権力者達だけに富が集中し、同時にその富はアメリカに流れるような構造になっていました。当時多くの庶民は、奴隷のような生活を強いられ、教育はおろか医療さえも受けられない者も多く存在していたのでした。そこで、その腐敗政権であったバティスタ政権を倒し、自由と平等を手に入れるために「キューバ革命」を起こしたのが彼、フィデル・カストロであったのです。

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日本では、フィデルの相棒として一緒にキューバ革命を起こした「Che Guevara(チェ・ゲバラ)」の方が良く知られているかもしれません。ゲバラが何をした人か知らない若者さえも、彼の肖像はファッションの一部としても非常に有名ですね。

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1950年代前半より政府と戦い続けた彼らは、民衆を見方につけ1959年ついに政府を倒しキューバ革命を成立させるのです。革命後、カストロは首相となり一党独裁体制の社会主義国家を作っていくのです。

私たちが、「社会主義国家」それも「一党独裁」と聞くと、なんだか国民を縛り付けたり洗脳したりした民主的ではない危険な国家のようなイメージを持つかもしれませんが、キューバはそうではありません。少し特殊な社会主義であり、幸せな社会主義とすら言われることもあります。なぜなら、そもそも革命を起こし、新政権を作った理由は「平等」と「自由」を目指したからであり、カストロとゲバラが執拗なまでにこだわり続けた“全ての国民が手に入れられる「医療」と「教育」”は、当時から今でも非常に高い水準で、そして「完全に無償で」(大学や大学院まで!)全ての国民に与えられた権利となっているのです。国際的な様々な理由から決して裕福とは言えないキューバですが、どんなに貧しくても教育と医療だけは誰でも制限なく受けられるようにと50年以上経った今でも変わることなくこの権利が守られ続けています。

もちろん言論の自由もありますし、カストロ達が作ったこの制度からキューバはたくさんのお医者さんや学者さんのいる国なのです。そして、犯罪が極めて少ないこともその特徴と言えるでしょう。

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同時に、貿易の制限などからキューバが貧しいことは事実です。「モノ」自体が国内に少ないことから、今でも修理を繰り返し当時のクラシック・カーが走っているような光景も有名ですね。

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そんな貧しさから、キューバから亡命する者が多いのも現実です。特にアメリカで暮らすキューバ系移民は、反カストロ派の人も多く、今回のカストロ死去を喜ぶようなニュースも報道されていました。

 

しかし、実際にキューバ国内では、多くの国民がカストロやゲバラを愛しています。貧しいのは事実ではあるけれど、革命以降、人として最も大切な権利や自由が保証されたからでしょう。その証拠に革命から50年以上経った今でも、その政権を倒そうとする動きはなく、今現在も政権が続いているのです。

世界で最も裕福な日本に暮らす私達は、常に忙しさの中にいて次から次へと新しいものを欲しがる物質主義の中心にいます。一方、キューバには貧しいけれど愛に溢れ、歌って踊って、そこにある物を大切に使い続ける暮らしが今も残っています。

そんなキューバも、今年はアメリカとの国交回復に向けオバマ大統領が訪問を果たし、そして今回は革命から今のキューバを作ったカストロの死がありました。

50年前から時が止まったような古き良きキューバが、民主化され国際化され変わってしまう日が来るのもそう遠くない未来かもしれません。

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そういった理由から、キューバにご興味のある方は、今が訪問の最後のチャンスかもしれません!

 

最後に、お勧めの映画を紹介致します。

「モーターサイクル・ダイアリーズ」という映画です。

日本では英語名のタイトルですが、原作のスペイン語名は「Diarios de motocicletas (ディアリオス・デ・モトシクレタ)」という映画で、実話に基づいたものです。

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この映画の主人公は、今回紹介したフィデル・カストロではなく、後に彼の相棒となるチェ・ゲバラとなりますが、スペイン語の学習にはとても良い映画でしょう。

若かりし頃のゲバラが、アルゼンチンからバイクに乗って南米大陸を縦断する中で様々な現実を知っていくという物語です。その現実を変えていくために後に彼は、カストロと共に革命家となりキューバ革命へ向かっていくのですが、この映画では革命前のそのきっかけを作ったゲバラの青春時代を描いたものです。南米における世の中の現実や、その景色も映画の見所の1つです。スペイン語は、スペインのスペイン語とは少しアクセントが異なりますが、スペインのものよりもゆっくりで聞き取りやすいと思いますので、是非この冬に鑑賞してみてはいかがでしょうか。

http://www.motorcyclediariesmovie.com

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