カタルーニャ独立問題について考える

ここ最近、日本のニュースでも頻繁に見かける話題、スペインのバルセロナがある「カタルーニャ自治州の独立問題」。

この問題に関する議論は以前より続いており、2年程前にもVAMOSのブログで取り上げたことのある話題でしたが、現在も議論は続いているようです。

以前の記事はこちら>

先日、カタルーニャ州の州議会は、住民投票の結果を受けてスペインからの独立を宣言する議案を賛成多数で可決ました。

このことを受け、スペインのラホイ首相は、独立を宣言したカタルーニャ州政府の官僚を解任、議会を解散、さらに独立推進派の前カタルーニャ州首相に逮捕状が出され、ついには拘束したというのです。

カタルーニャ州側は一方的に独立を宣言、一方国側のスペイン上院はそれを認めずカタルーニャの自治権停止について投票を行い賛成多数で承認するという、両者一歩も引かない状態となってしまっているのです。

実はカタルーニャ州内でも意見は二分しています。住民投票では独立賛成派が勝利しましたが、独立反対派も多く、反対デモには多くのに人が参加しスペインおよびEUとの共存を呼びかけました。

日本では国から独立という動きはありませんので、私達日本人には理解し難いことも多いこの問題ですが、そこには歴史的な背景があり、現在のヨーロッパの問題を反映しているようです。

今回は、この問題についてVAMOSのLaura先生が解説とコメントをくれました。

Laura先生はカタルーニャのお隣バレンシア州の出身ですが、カタルーニャの人と同じようにスペイン語とバレンシア語のバイリンガルです。ニュースからの情報だけでは読み取れないスペイン人としての考えを述べてくれていますので、貴重な情報でもありますね!

以下、日本語訳を添えてお届け致しますが、スペイン語が分かる方は是非スペイン語で読んでみて下さい。

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En España siempre ha existido el pensamiento independentista. En País Vasco estaba ETA, que usaba la violencia para independizarse.

Pues en Cataluña muchísima gente piensa que deberían ser un país independiente, le llaman “pueblo”, quieren ser un pueblo libre.

Porque durante la guerra estuvieron muy reprimidos, les prohibieron hablar en catalán y no podían expresar sus ideas.

Aunque ahora tenemos una democracia, muchos en Cataluña dicen que ha llegado el momento de cambiar el sistema porque piensan que el PP no hace bien su trabajo y que España se aprovecha de los recursos económicos de Cataluña, de su turismo, etcétera.

No les gusta como están gobernando en España y quieren ser independientes, sobretodo, es una cosa cultual, quieren que se hable solo Catalán y que sea un país catalán. Y que, más adelante, la Comunidad Valenciana y las Islas Baleares se unan a ellos.

Yo no lo entiendo porque el bilingüismo y la variedad cultural es en mi opinión, un regalo.

Pero ellos ya no quieren formar parte de España, supongo que han vivido muy reprimidos y habrán sido tratados muy mal en el pasado y ahora no quieren formar parte de un sistema que les hizo tanto daño.

Además, creo que también están cansados de que siempre gobierne la derecha (el PP) y que no se hagan cambios importantes. En Cataluña, hay muchísimas opciones culturales y la Generalitat ayuda mucho a las personas porque son de izquierdas.

Por eso creo que quieren independizarse de España, ellos nunca han sentido el patriotismo español. Mi amiga está de acuerdo y va a las manifestaciones en Barcelona y todo.

Cataluña organizó una votación ilegal y El gobierno español envió a la policía para que no votaran.

Ambos hicieron mal, Cataluña no hizo de forma legal y le gobierno tampoco pegando a todos los manifestantes que querían votar pacíficamente.

Entonces ahora los catalanes independentistas dicen que les han atacado como cuando estaba Franco y se han declarado independientes, en contra de la Constitución española y el gobierno.

Por eso el gobierno ha tomado Cataluña en su poder y han quitado el mando a los catalanes.

Les han dicho que tienen que dimitir de todos sus cargos o van a ir a la cárcel porque van en contra de la ley.

Por eso en Cataluña no hay gobierno estable ahora, la sociedad está dividida porque hay mucha gente que no quiere la independencia.

Yo no estoy de acuerdo con la independencia porque me gusta que haya bilingüismo y diversidad cultural en España, pero si tanto desean irse y no quieren formar parte de España, quizás deberían irse. Pero tienen que hacerlo de forma legal, sino van a seguir todos los problemas. No creo que España lo permita, así que el problema va a seguir aumentando y empeorando…

スペインには、かねてから独立思想が存在していました。代表的なものは、その昔、独立のために暴力を行使したバスク地方のETAという集団ですね。

そして現在話題となっているカタルーニャにおいては、とても多くの人がカタルーニャを独立した国家とすべきだと考え、自由な祖国となることを望む彼らは「pueblo(プエブロ):人民、国民」と呼ばれています。

それは世界大戦中、彼らが(スペイン中央政府から)ひどく抑圧され、もともと自分たちの言語であるカタルーニャ語を話すことを禁じられ、自分たちの考えを表現することさえもできなかったためです。

現在は、私たちスペイン人は民主主義を手に入れています。しかし、多くのカタルーニャの人々は今こそ政府のシステムを変える時だと主張しています。それは、スペイン中央政府および国民党の政策が上手く機能しておらず、政府は観光業をはじめとするカタルーニャ州経済の資金力につけ込んでいるからです。

彼らは、このスペイン政府のやり方が気に入らず、独立を望んでいるのです。とりわけ、文化面においてカタルーニャを国としカタルーニャ語だけを話すことを望んでいます。そして、将来的にバレンシア州やバレアレス諸島も彼らに加わるべきであるという意見さえもあるのです。

私はこれに関しては理解できないと思っています。なぜなら、私の意見では「バイリンガリズム(スペイン語と地域言語の“二言語併用”)」と「文化の多様性」は素晴らしいことだと考えているからです。

しかし、彼らはもうスペインの一部として存在することを望んではいません。おそらく、これまでの歴史の中で強く抑圧されて生きてきたことと、過去に政府からあまりにひどい扱いを受けていたこと、それにより自分たちをそこまで深く傷つけた政府に属していたくないと感じているのでしょう。

その上、改革を行わず長期政権となっている「右派」政権 (国民党) に対して、カタルーニャの人々は疲れてしまっているとも言えるでしょう。現在カタルーニャには、非常に多くの文化的権利があり、カタルーニャ自治州政府は住民に大きく貢献しています。それは、「左派」に属しているからです。

そのような理由からも、スペインからの独立を望み、彼らはスペインへの愛国心を感じないのだと思います。

私のバルセロナにいる友人は、独立に賛成しデモへ参加しています。

そして彼らは、国からは違法とされる投票をカタルーニャ全土で行いました。これに対してスペイン政府は、投票をさせないよう警察を送り込んだのです。

これは両者とも良くないと思います。カタルーニャはこの選挙において合法的な手段をとりませんでしたし、政府もまた投票しようとしたデモ参加者に対して平和的な対応をしなかったのですから。

すると今度は、これに対して独立賛成派のカタルーニャの人々は、独裁者フランコがいた時代のように政府から弾圧を受けたと言い出し、スペイン憲法に反した独立を主張しています。

そのため現在カタルーニャには正式な議会が存在しない状況となり、また独立を望まない人々も多くいることから社会では意見が二つに割れてしまっているのです。

政府は、カタルーニャを権力下におき、支配権をとりあげました。そして議会に対して辞任、または法を犯したため刑務所へ行くよう命じたのです。

私は独立には賛成しません。なぜなら私はスペインにバイリンガリズム(スペイン語と地域言語の両方を認めること)があることと国内に様々な文化が存在することは良い事であると考えているからです。

しかし、カタルーニャの人々がそこまで強く独立を望みスペインの一部であることを拒否するのであれば、そうすべきだと思います。ただし、それは合法的にしなければなりません。そうでなければ全ての問題を引きずったままとなってしまうことでしょう。

スペイン政府は独立を許さないと思いますので、この問題はより大きな問題となり、状況も悪化していくのではないでしょうか。

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以上、和訳を添えてお届け致しましたが、この独立問題は答えが出ないまま長期化し、今後の見通しも不透明のように見えますね。

単一民族である私たち日本人とは異なる文化が存在するスペイン。スペイン各地を旅行されたことのある人、またはこれから旅行される人は、各地の建造物などの違いからもその文化の多様性に気付くかもしれません。しかし、それ以上に文化を象徴する「言語」においては、さらに多様性があります。スペイン語は、もちろんスペイン全土で使用される公用語ですが、同時に各地域の地域言語の多くも公用語として認められているのです。

地域言語とスペイン語の関係は、スペイン内で以下のようなカテゴリーに分けられると思います。

A) スペイン語のみを話す人

B) スペイン語>地域言語 (地域言語はある程度理解しますが、スペイン語だけを話し生活している人

C) スペイン語=地域言語 (バイリンガルの人)

D) スペイン語<地域言語 (スペイン語は理解しますが、主に地域言語を話し生活している人)

 

そして、スペインという国に対するアイデンティティは以下のように国内で分かれていると考えます。

Ⅰ) 自分は(カタルーニャ、バレンシア、ガリシア、バスク.etc)人である前に、スペイン人である

Ⅱ) 自分はスペイン人であり、同時に(カタルーニャ、バレンシア、ガリシア、バスク.etc)人でもある

Ⅲ) 自分はスペイン人である前に、またはスペイン人ではなく、(カタルーニャ、バレンシア、ガリシア、バスク.etc)人である

 

今回独立を主張しているカタルーニャの人々は、上記のうちDとⅢに属していると言えますが、一つの国スペインの中でも、また親しい友人間であっても、上記の組み合わせは複雑に分かれています。

独立問題の根底にはこのようなアイデンティティの差があるといえそうですね。

今回はLaura先生の意見をとり上げましたが、この問題についてはスペイン人各自異なる見解を持っていることでしょう。

正解は存在しませんが、みなさんはこの独立問題、どう考えますか?

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