今日は、旬なニュースについてお話させて頂きます。
既にニュースで見かけた方もいるかと思いますが、バルセロナが属するスペインのカタルーニャ自治州で、スペインからの独立の是非を問う選挙が行われ、独立賛成派が過半数を超え勝利したのです!
しかし、スペイン中央政府は独立を憲法違反とし、今後も両者の対立は激しいものとなりそうです。
このスペインのニュースは、先日のスコットランドがイギリスからの独立を試みたニュースを思い起こさせますね。
マドリッドが日本における東京であれば、バルセロナは大阪のような位置づけですから、大阪が日本から独立して国になりたいと言っているようなものなのです!
では、そもそも、なぜ彼らは自国からの独立を望むのでしょうか?
これに関しては、スペインの国の歴史にも由来します。
私たちは、遥か昔から日本というこの島国で、同じ人種の民族同士で、同じ日本語という言語を話し、生きてきました。つまり私たち日本人は、「自分は日本人である」という一見当たり前に思えるようなアイデンティティを共有しています。
しかし、スペインなどのヨーロッパの国では、ここが違っているのです!
元々、スペインは様々な民族と国から成っている1つの国です。日本人には意外と知られていませんが、多民族国家なだけでなく、他言語国家でもあるのです。
スペイン=スペイン語というイメージは非常に強いですが、実はスペイン全体の公用語がスペイン語であり、国内では、スペイン語以外に「カタルーニャ語」「バレンシア語」「ガリシア語」「バスク語」などの各地域言語も各自治州の公用語とされているのです。
これらは、決して方言ではありません!れっきとした「公用語」であり、位置づけはスペイン語と同等の言語です。
つまり、スペインでは二言語併用はいたって日常的なことであり、スペイン語と自分の地域言語、どちらをメインで話すかは、地域や個人でそれぞれ異なるのです。
言語が異なれば、ルーツとなる民族や、文化ももちろん異なります。
日本ではドイツのヒトラーやイタリアのムッソリーニが知られているように、その時代、スペインにも「フランコ」という独裁者が同様に国を制圧していました。
つまり、独裁政治というやり方で、様々な言語や文化を持つ民族を、1つのスペインという国にまとめあげる為、彼らの独自言語を話すことを固く禁じ、スペイン語の使用を強制し、それぞれの独自の文化をも否定したという暗い過去があるのです。
そういった歴史に目を向けると、彼らの考えも理解できるでしょう。つまり、そもそも「国から独立」をするというより、単に「元に戻る」ことを望んでいるだけなのです。
しかし、戦後自由になったスペインは、各民族の文化や言語をきちんと尊重し、その独自性を認め、深い理解を示しています。その証拠に、独自言語は「公用語」として認められているのですから。
つまり、現在スペインは決して彼らのアイデンティティを否定しておらず、カタルーニャは実際の独立は果たしていないものの、精神的な独立はある程度認められていると言えるのです。
では、なぜ未だに独立を求める動きがあるのでしょうか?
そこには、歴史だけでなく、「経済」の理由もあるのです。言うならば、バルセロナがあるカタルーニャ地方には、おカネ、つまり経済力があるのです!今やスペイン経済の中心とも言える地域です。
一方、スペインはギリシャやイタリアと同様に経済危機が叫ばれています。スペイン中央政府が進める緊縮財政への反発から、いっそ独立をしてしまった方がより豊かになれるという考えもあるのです。
つまり、歴史的背景と、経済的背景の2つの理由から、この独立の動きが高まっているのです。
しかし、スペイン政府は、一家の大黒柱であるカタルーニャを失っては大変です!
なんとしても独立を阻止しようとすることでしょう。
今後、独立を求めるカタルーニャと、それを違憲として反対するスペイン政府との対立は、果たしてどうなっていくのでしょうか・・・。